<デジタルマイクロスコープ>
- 皮膚・発疹・腫瘤・頭皮などを10倍から200倍まで拡大できるデジタルマイクロスコープで観察し、臨床診断の精度を高めます。正確な色調を見る無反射画像と皮膚の立体形状を見る反射画像を瞬時に切り替えることが出来ます。画像は、ディスプレイに写し説明致します。この検査は、皮膚科学的検査であるダーモスコピーとして保険診療で受けられますが、保険請求できる疾患が決められています。
検査目的
(1)乾燥・敏感肌、脂性肌などの肌診断。
(2)発疹や腫瘤を拡大し肉眼では見えない色調・形状・構造を捉え診断の精度を高めます。
(3)ウイルス性いぼに対する液体窒素療法の治癒判定に活用します。目視による治癒判定は再発が多いです。
(4)みずいぼを疑った場合小丘疹の中心にある軟属腫小体の有無を確認します。
(5)毛虫・毒蛾皮膚炎の診断に必要な毒針毛の有無を確認します。
(6)疥癬を疑い、手掌に細い白色線状の鱗屑(拡大しますとあたかも水尾のように見えます)がありましたら、疥癬トンネルを考え疥癬虫を確認します。
(7)毛髪もしくは頭皮の疾患についてダーモスコピーを用いて観察します。トリコスコピーと呼びます。
ダーモスコピーを診断目的で行える疾患
(1)悪性黒色腫
(2)基底細胞癌
(3)ボーエン病
(4)色素性母斑(ほくろ)
(5)老人性色素斑(しみ)
(6)脂漏性角化症(いぼ)
(7)エクリン汗孔種
(8)血管腫 など
<血液一般・生化学・免疫血清・尿検査など>
検査目的
(1)全身状態のチェック
(2)薬剤の副作用調査
(3)アレルギー検査(下記参照)
(4)膠原病かどうかのスクリーニング検査
(5)ウイルス性疾患かどうかのペア血清検査 など
<アレルギー検査>
末梢血好酸球数と血清LDH値
- アレルギー症状の短期的病勢を反映します。
IgE検査(RIST)
- 不特定のIgEの合計を数値化。当院の検査では、基準値174IU/ml以下。
- 検査料金は、3割負担の患者さんで、判断料込みで730円です。別に基本診療料(初・再診料)などがかかります。
特異的IgE検査(RAST)
- ある特定のアレルゲンに対するIgEを個別に調べる検査。健康保険で、1回に調べられるアレルゲンは13項目までと決まっています。
- 検査料金は、3割負担の患者さんで、判断料込みで1項目760円〜13項目4,720円です。別に基本診療料(初・再診料)などがかかります。
TARC
- TARC(ターク)は、Thymus and activation-regulated chemokine(Th2ケモカイン)の略です。
- アトピー性皮膚炎では、様々な刺激によって表皮角化細胞からTARCの産生が誘導・増強され、このTARCがTh2細胞(Th2ヘルパーT細胞)を病変部へ遊走させ、IgE抗体の産生や好酸球の活性化が起こり、アレルギー炎症反応を引き起こすと考えられています。
- TARCが高値の時には、活動している炎症が強く、より重症ということになります。よってTARCが高いアトピー性皮膚炎患者さんは、TARCが基準値になるまで、かゆみと湿疹に対して積極的な治療が必要となります。
- TARCを調べてみると、アトピー性皮膚炎の診断基準に満たない患者さんでTARCが基準値より高い方がいて、そのような患者さんは一年を通し様々な内・外的な刺激(汗、紫外線、接触、衣服・寝具、虫刺されなど)に対して皮膚の炎症を引き起こし、その炎症が拡大・増悪します。
- 基準値(単位pg/ml、男女共通):成人450未満、小児(2歳以上)743未満、小児(1〜2歳)998未満、小児(6〜12ヶ月)1367未満。
- アトピー性皮膚炎の重症度:成人は700未満は軽症、700以上は中等症以上。小児(2歳以上)は760以上は中等症以上。
- 検査料金は、3割負担の患者さんで、判断料込みで1,010円です。別に基本診療料(初・再診料)などがかかります。
<顕微鏡検査>
検査目的
(1)皮膚真菌症の原因菌を見つけます。
(2)頭虱症(アタマジラミ)を疑いましたら、診断を確定するため、頭髪の毛に寄生する虫、虫卵や卵の抜け殻を見つけます。
(3)疥癬(かいせん)を疑いましたら、診断を確定するため、原因虫(ヒゼンダニ)、虫卵や虫の排泄物を見つけます。
(4)毛虫皮膚炎の原因となる毛虫の毒針毛を見つけます。
<細菌検査>
- 表在性・深在性皮膚感染症の原因菌と処方した薬剤の感受性を調べる事が出来ます。
<パッチテスト>
検査目的
(1)接触皮膚炎(かぶれ)の接触源を調べます。
(2)薬疹の原因薬剤を調べます。
- <実際の検査>
- 通常上腕内側か背部に、試薬のついた絆創膏を貼り検査を行います。
- 当院では、水曜日か土曜日に検査をし、2日後と3日後に判定します。(1週後に判定することもあります)
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- 背部に金属アレルゲンのパッチテストを実施。パラジウム(左)とニッケルに陽性。なお試薬金属によるパッチテストは2020年5月で終了しました。
- <注意>
- 2日後の判定まで、絆創膏と補強のテープははがさず、入浴時に濡らさないで下さい。
- 汗をかくような運動は止めて下さい。
- ご本人の持参品:接触源の可能性がある化粧品、検査に使用する最少量の薬剤など。
パッチテストパネル(S)
- 従来のFinn Chamber法(FC法)によるパッチテストの問題点(アレルゲン試薬の用量が一定になり難い、アレルゲンが汗に溶けると刺激反応を起こしやすい)を解決すべく、1984年スウェーデンのFischerらはT.R.U.E TEST(Thin-layer Rapid Use Epicutaneous TEST:以下TT)というシステムを考案しました。TTは、親水性の基剤中に溶かしたアレルゲンをポリエステル支持体上に塗布して試験片とし、粘着テープに貼付したパッチテスト用診断ユニットです。
- 2014年12月、ジャパニーズスタンダードアレルゲンに対応する21種類のアレルゲンを2枚のパネルに配置したパッチテストパネル(S)がアレルギー性皮膚疾患の検査薬として承認され佐藤製薬より販売されました。
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- <パッチテストパネル(S)の特徴>
- ジャパニーズスタンダードアレルゲンに対応する21種類のアレルゲンを含む計22種類が配置されています。(21種+メルカプトベンゾチアゾール)
- 国内外比較臨床試験において、従来法(FC法)と同程度の診断性能が確認されました。
- 副作用は、パッチテストに伴う一般的なものが多く、重篤な副作用は認められませんでした。
このような患者さんにお勧めします
(1)アレルギー性接触皮膚炎と診断され、問診などで接触アレルゲンが特定出来ず、接触アレルゲンが何かを知りたい患者さんにお勧めします。
(2)原因不明の慢性化した湿疹の患者さんで、特異的IgE検査(RAST)や金属アレルゲンのパッチテストでアレルゲンが見つからなかった患者さんにお勧めします。
- アレルゲンの一覧を参照下さい。
- なお、染料(パラフェニレンジアミン)のみ検査したいとの要望には、応じられません。
- <使用方法、用法・用量>
- 肩甲間部(傍脊椎部)にパネルを貼付します。貼付2日後に本剤を剥がしてから、30分から1時間後及び1日又は2日後に反応をICDRG基準により判定します。必要に応じて剥がしてから3〜5日後にも同様に判定します。
- 当院では、水曜日か土曜日にパネルを貼付し、2日後と3日後に判定します。
- <判定:ICDRG基準>
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- 上段左から、紅斑のみは十?、紅斑+浸潤は十(陽性)、紅斑+浸潤+丘疹+小水疱は2十、大水疱は3十、IR:刺激反応
- 検査料金は、3割負担の患者さんで、検査料(350点)と薬剤料(1,588点)で5,810円です。別に基本診療料(初・再診料)などがかかります。
- 検査希望者が出てから発注するため、検査日が発注から数日後〜1週間後位になる場合があります。ご了承下さい。